岩立沙穂(1994年10月4日生まれ、神奈川県出身)は、AKB48の第13期生として2011年にデビューし、約13年にわたりグループの一員として活動を続けてきた。2025年3月時点で、彼女はAKB48最年長メンバーであり、チームBキャプテンとして後輩を牽引する存在である。加入時の初々しい研究生から、選抜入りを果たすベテランに至るまで、岩立の軌跡は努力と忍耐の結晶だ。本稿では、彼女のキャリアを時系列に沿って詳細に振り返り、その成長と貢献を考察する。
加入と研究生時代(2011年~2013年)
岩立沙穂のAKB48への道は、2011年9月24日に開催された第13期生オーディションで幕を開けた。このオーディションは、応募総数約1万2000人の中から選ばれた32名が最終審査に進み、岩立はその中の一人に名を連ねた。最終審査では歌とダンスに加え、自己PRが行われ、彼女は緊張しながらも「自分らしく頑張りたい」と意気込みを語ったとされる。同年12月8日、AKB48劇場での「6周年特別記念公演」で初お披露目され、17歳の岩立は同期メンバー(村山彩希、北澤早紀、茂木忍ら)と共にファンに挨拶した。
研究生としての活動は、劇場公演を中心に展開された。初舞台は2012年1月25日の「僕の太陽」公演で、アンダーとして出演。彼女は当時を振り返り、「覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだった」とブログで明かしている。この時期、AKB48は黄金期を迎えており、前田敦子や大島優子の卒業が話題となる中、研究生は正規メンバーへの昇格を目指して地道な努力を重ねた。岩立は公演でのポジションを少しずつ増やし、2012年8月には「PARTYが始まるよ」公演で初のユニット曲「スカート、ひらり」を担当。同期の北澤早紀と「のろりんず」を名乗り、ファンから親しまれる存在感を示した。
しかし、昇格への道は険しかった。第13期生は人数が多く、2012年8月の第14期生加入によりさらに競争が激化した。岩立は2013年まで研究生として約1年8カ月を過ごし、「いつ昇格できるのか不安だった」と後に述懐している。そんな中、2013年8月24日、東京ドームでの『真夏のドームツアー』でチーム4への昇格が発表された。峯岸みなみをキャプテンとする新チーム4は、同年11月3日に「手をつなぎながら」公演を初日を迎え、岩立は正規メンバーとしての第一歩を踏み出した。
正規メンバーとしての基盤構築(2014年~2018年)
チーム4昇格後、岩立はAKB48の主要イベントである選抜総選挙で頭角を現し始めた。2014年の『第6回選抜総選挙』(6月7日)では66位(11,873票)で「アップカミングガールズ」に選ばれ、初のランクインを果たした。この年、彼女は「目標は少しでも上位に」と意気込みを語り、以降の総選挙でも着実に順位を上げていく。2015年は圏外に終わるが、2016年の『第8回選抜総選挙』(6月18日)で51位(17,684票、フューチャーガールズ)、2017年の『第9回選抜総選挙』(6月17日)で42位(20,912票、ネクストガールズ)、そして2018年の『第10回世界選抜総選挙』(6月16日)で22位(31,344票、アンダーガールズ)と、ファンの支持を拡大した。特に2018年の22位は、初の総選挙上位ランクインとなり、彼女の知名度を大きく引き上げた。
劇場外での活動も増えた。2016年8月、音楽劇『赤毛のアン』でダイアナ・バリー役に挑戦し、初のミュージカル出演を果たした。翌2017年も同役で再演に参加し、「歌と演技の両立が難しかったが、成長できた」とコメント。2017年8月の『豆腐プロレス The REAL 2017 WIP CLIMAX』では、「さっほー岩立」としてリングに上がり、ドラマとリアルが交錯する企画でファンを驚かせた。さらに2018年10月、タイ・バンコクでの『Maya International Music Festival 2018』やタイ首相官邸訪問に参加し、AKB48の国際的活動に貢献。現地ファンとの交流では、英語での挨拶を披露するなど努力を見せた。
個人活動では、趣味の駅弁収集が注目を集めた。2014年頃からブログで駅弁を紹介し始め、2017年には『駅弁タビリスタ』(講談社)での連載がスタート。資格取得にも熱心で、漢字検定2級やアロマテラピー検定1級を取得し、「勉強が好き」と公言する硬派な一面をアピールした。これらの活動は、彼女の真面目で知的なキャラクターを形成し、アイドルとしての独自性を確立した。
チームBキャプテンとしての責任と挑戦(2019年~2023年)
2019年5月2日、高橋朱里の卒業公演で、岩立はチームBキャプテンに指名された。高橋は「沙穂はファンを大切にする気持ちが強い」と理由を述べ、岩立自身も「責任感を持って頑張りたい」と決意を表明。6月17日、新公演「僕の夏が始まる」の初日を成功させ、キャプテンとしての初陣を飾った。この公演では、彼女がセンターを務める「君が教えてくれた」が披露され、ファンからも高い評価を受けた。
2020年、新型コロナウイルスの影響で劇場公演が中断する中、岩立はオンラインでの活動に注力。5月13日から始まった「おうち公演」や、11月23日の『AKB48 e運動会』ではチームをまとめ、メンバーの士気を維持した。12月15日の武藤十夢生誕祭では、ソーシャルディスタンス公演を成功させ、「ファンの笑顔が力になる」と語った。また、派生ユニット『Honey Harmony』のメンバーとして、同年12月に初のオリジナル曲「ハニーハーモニーのうた」を披露し、新たな魅力を発揮した。
2022年2月、ミュージカル『不思議の国のひなまつり』で主演級の役を務め、演技力をさらに磨いた。同年5月、ドラマ『AKB48の歌』(ひかりTV)では芸能事務所社長役を演じ、シリアスな表情で新境地を開拓。2023年7月には事務所をTRUSTARに移籍し、個人活動を強化。バラエティ『衝動に駆られてみる』(フジテレビ)や、連載『さっほーの日本全国駅弁の旅』(BRAVO MOUNTAIN)で、個性的な存在感を示した。
最年長メンバーとしての現在と飛躍(2024年~2025年)
2024年、岩立はAKB48にとって歴史的な転換期を迎えた。柏木由紀の卒業(4月30日)後、彼女はグループ最年長メンバーとなり、SKE48斉藤真木子の卒業(12月31日)でAKB48グループ全体の最年長となった。30歳という年齢でアイドルを続けるのは異例だが、岩立は「AKBへの情熱はまだ燃えている」と前向きな姿勢を見せる。
同年12月25日、AKB48 10thアルバム『なんてったってAKB48』で、加入13年目にして初の選抜入りを果たした。リード曲「なんてったってアイドル」(小泉今日子カバー)では、同期の村山彩希が初センターを務め、岩立は「13年分の想いが詰まった瞬間」と涙ながらに喜びを語った。この選抜入りは、在籍期間としてはグループ史上最長記録となり、ファンとの絆の深さを象徴した。
2025年3月現在、岩立は新公演『ここからだ』の準備を進めているが、体調を考慮し一部公演を休演。個人活動では、ファンクラブ「Saho Room」を運営し、オンラインイベントでファンとの交流を深めている。駅弁連載も継続中で、3月には「春の新作駅弁」を紹介し、好評を博した。
総括と未来への展望
岩立沙穂の13年間は、研究生としての苦難、正規メンバーとしての成長、キャプテンとしての責任、そして最年長メンバーとしての飛躍という、多段階の進化の歴史である。選抜入りに13年を要した彼女だが、「AKBは順位だけではない」と信念を貫き、劇場公演や個人活動で独自の地位を築いた。その姿勢は、2025年に20周年を迎えるAKB48において、後輩への模範となり、グループの伝統を継承する役割を担っている。
今後、岩立がアイドルとしてどこまで進むのか、あるいは新たな分野で挑戦を続けるのかは未知数だ。しかし、駅弁や演技、リーダーシップを発揮する場で、彼女の可能性は無限に広がっている。岩立沙穂の次なる一歩が、ファンと共にどのような未来を描くのか、注目が集まる。
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